本来の意味とは違う使い方が多い言葉に「割愛(かつあい)」という言葉があります。
説明の途中で時間が足りなくなった時に「時間が無いのでここの説明は割愛します。詳細は資料をご覧ください。」といった使い方をします。
この「割愛する」と似たような言葉で「省略する」という言葉もありますよね。
今回は「割愛」と「省略」の意味や違い、使い分けについて紹介します。
「割愛」の意味
割愛の意味は、惜しいと思うものを捨てたり、手放したりする事です。
つまり愛着の気持ちはあるけど断ち切る事です。
また特殊な使い方として、公務員(教員・先生など)が他の自治体や民間企業などへ籍を移す場合にも使われます。
「割愛願い」や「割愛依頼」は、人材が欲しいと思う自治体などが「優秀な人材を手放すのは惜しいと思いますが、コチラにお譲り下さい」と異動元にお願いするという意味になります。
割愛によって採用した場合は「割愛採用」と呼ばれ、元々いた機関を辞める事を「割愛退職」と呼びます。
ですので、安心して下さい!天下りではないですよ(笑)
「省略」との違い
省略の意味は、一部を取り除いて簡単にする事です。
残念ながらそこに「惜しむ気持ち」はありません。
つまり「割愛」との違いは、その取り除く部分に「愛着」があるかが問題です。
ただ単に不要だから省く場合には「省略」を使い、本当は重要だけど仕方なく省く場合には「割愛」を使います。
多くの人は間違っている
文化庁が平成23年度に行った「国語に関する世論調査」では、間違った意味で使っている人が多い事がわかりました。
不必要なものを切り捨てる→65.1% 惜しいと思うものを手放す→17.6%
この様に6割を超える人が本来の意味を理解していません。
また、NHK放送文化研究所が平成28年に行ったウェブアンケートの結果でも「割愛」の使い方に変化が進んでいる事がわかりました。
A.それほど重要な内容ではないので、割愛します
B.たいへん重要な内容なのですが、割愛します
【答え】 1.AとBどちらも正しい→23% 2.は正しいがBはおかしい→49% 3.Bは正しいがAはおかしい→25%
正解は3番ですよね。
この様に自分は理解していても、相手が違う意味で捉えるので使い分けがむずかしい言葉ですね。
「割愛」と「省略」の使い分け
先述した通り、自分は「割愛」と「省略」の違いを理解していても、相手が理解していない確率が高いです。
そんな時には、相手にとってわかりやすい言葉を前後につけるようにしましょう!
使い分けが出来ても相手に通じなければ意味がありません。
【割愛:例文】
・ここは重要なところですが、時間の都合上、説明は割愛します
・こちらも大変良い作品ですが、紙面の都合上、割愛させてください
・時間が無いので割愛しますが、次の資料は必ず目を通してください
【省略:例文】
・この部分は覚える必要がないので、説明は省略します
・前ページと内容が重複する為、ここは省略します
・時間が無いので省略しますが、こちらは不必要な部分です
類語を覚えよう!
自分の使いやすい言葉で、相手に意味を伝えましょう!
【省く(はぶく)】
・手間を省く(少なくする)
・不要な部分を省く(取り除く)
【飛ばす・スキップする】
・次のページを飛ばす
・録画番組のCMをスキップする
【端折る(はしょる)】
・話を端折る(簡単にする)
【オミットする】
結果にコミットするではありません(笑)冗談ではなく本当にある言葉です。
・規定に違反したのでオミットする(除外する)
【カットする】
・映像が長い為カットします
・前髪が邪魔になるのでカットする
あとがき
「割愛」と「省略」の意味や違いについて理解できましたか?
最後にまとめようと思っていましたが、時間の都合上、割愛させていただきます。
今後の参考になれば幸いです。