「琴線に触れる」の意味と使い方!「逆鱗に触れる」との誤用に注意!

「琴線(きんせん)に触れる」という言葉の意味をご存知でしょうか。とても美しい響きを持つ言葉であると感じるのですが、みなさんはどのように理解していますか?

実はこの言葉、間違った意味で使われることも多いのです。「琴線に触れる」と「逆鱗(げきりん)に触れる」を混同して、誤った使い方をしている例がみられます。

ではなぜそのような誤用が起きてしまうのでしょうか。「琴線に触れる」の意味を正しく理解し、使い方を知ることで、「逆鱗に触れる」との誤用に注意できるよう解説します。

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琴線に触れるの意味

琴線とは、楽器の琴に張られている糸のことです。その糸を弾くことで奏でられる琴の音色は、しっとりとして優雅で美しく、心に響きますよね。

つまり、物事に感動しやすい心を琴の糸に例えて、「良いものや、素晴らしいものに触れて感銘を受けること」が「琴線に触れる」の意味です。

琴線に触れるという言葉は、素晴らしい物事に触れた時に、人の心の奥底にある感情に感動を与えることを表します。

琴線に触れるの正しい使い方

心に感動を与えるもの、それは人それぞれ違うと思いますが、音楽や美術作品、映画や舞台、小説や人の言葉などに感銘を受けた経験をお持ちではありませんか?

例えば、あるアーティストの音楽を聴いていて、その歌詞が心に響き、とても感動したとします。そのような時「あのアーティストの歌が私の琴線に触れた」のように使います。

他にもいくつか「琴線に触れる」の使い方の例文をあげてみましょう。

・結婚式で琴線に触れたのは、友人からの心温まるスピーチだった
・ずっと観たかった絵を前にし、その絵は想像以上に私の琴線に触れた
・彼の舞台は、琴線に触れる最高の演技だった

このように、物事に対して深く感動を与えられたときの表現として「琴線に触れる」は使われます。

ところがこの琴線に触れるが本来の意味とはかけ離れた意味で使用されていることがあります。次ではそのことについて解説していきます。

逆鱗に触れるとの誤用について

琴線に触れるの意味が「人を怒らせる」といった意味と捉えられ、誤用されているという調査結果があります。

文化庁が行った「国語に関する世論調査」で琴線に触れるの意味を尋ねた結果は以下の通りです。

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本来の意味とされる「感動や共鳴を与えること」と答えた人が、平成19年度では37.8%、平成27年度では38.8%でした。

本来の意味ではない「怒りを買ってしまうこと」と答えた人が、平成19年度では35.6%、平成27年度では31.2%でした。

この結果によれば琴線に触れるの意味を、約3割の人が間違えて認識していることになります。

このような誤用を招く理由として、心の奥深くにある感情に触れるという点が、触れてはならない部分に触れてしまったため怒りを買ったという悪い意味での捉え方が浸透したものと思われます。

怒りを買うという意味では、逆鱗に触れるを使うことが正しい表現です。

琴線に触れるは、この逆鱗に触れるの意味と誤用される傾向があり、注意が必要です。

逆鱗に触れるの意味と使い方

先ほどの調査では逆鱗に触れるの意味を、「怒りを買ってしまうこと」と紹介しました。

しかし、ただ相手を怒らせるだけではなく、その相手が自分よりも目上の人の場合のみ「逆鱗に触れる」を使います。

そもそも、逆鱗に触れるの「逆鱗」とは、龍のあごの下にある逆さに生えた鱗(うろこ)のことです。その鱗に人が触れると、龍が怒ってその人を殺すという中国の思想「韓非子(かんぴし)」が由来です。

この龍の怒りを天地・万物を支配する神「天帝」つまり天子の怒りに例えたものです。

それが転じて、「目上の人を激しく怒らせる」という意味になりました。

ですので逆鱗に触れるは、怒りを買ってしまう相手が目上の人だけに限定されるのが、正しい使い方と言えるでしょう。

まとめ

琴線に触れるとは、素晴らしい物事に触れた時に、まるで琴の糸のように、心の奥深くが震えるように共鳴し、とてつもない感動を抱くことです。

感動を表す時には「琴線に触れる」、怒りを表す時には「逆鱗に触れる」です。間違いのないように正しく使い分けましょう。

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