「胡散臭い」と「きな臭い」の意味と違い!「胡散」と「きな」とは?

「胡散臭い」「きな臭い」これらの言葉の違いをご存知ですか?「あいつ、何だか胡散臭い奴だな」「あの店には最近、きな臭い噂がある」このような使われ方をしますが、どちらも聞いたことがないでしょうか。

「胡散臭い」も「きな臭い」も、なんとなく似たような意味を持つように思いますが、正しくはどのような意味があるのでしょうか。

この記事では「胡散臭い」と「きな臭い」の意味と「胡散」「きな」とは何を表しているのか、そして「胡散臭い」「きな臭い」二つの違いについて解説していきます。

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「胡散臭い」の意味とは?

「胡散臭い」は「うさんくさい」と読みます。漢字で見るとわかりにくいですが、読み方を聞くと知っているという人も多いのではないでしょうか。それでは、「胡散臭い」という言葉についてみていきましょう。

「胡散臭い」とは、「なんとなく怪しい・疑わしい・油断できない」という意味です。

なんとなくインチキっぽく、どこか信用ならないといったことを表しています。良い意味を持つ表現ではありませんね。

「胡散臭い」の「胡散」って何?

さて、「胡散」とは何のことかというと、「怪しいさま・不審なさま」をいいます。

「胡散」の語源には、「疑わしい」を意味する漢語「胡乱(うろん)」からきているとする説があるそうです。「胡」には「でたらめな」、「乱」には「秩序のないこと」の意があり、「でたらめで秩序のないこと」これを言い換えると「疑わしいこと」となるわけですが、この「胡乱」が「胡散」のもとになったとされているようです。

尚、「胡」を「う」と発音する読みは、唐音(とうおん・とういん)といって、中国の唐末期から清初期の時代に日本に伝わった中国語の発音に基づいたものです。

また「胡散臭い」の「臭い」には「…のような様子である」という意味があります。

例えば「年寄り臭い」であれば「年寄りのようであること」を表しているのですが、「胡散臭い」の「臭い」もこれに同じです。

「胡散」という言葉をそれだけで使うことはあまりないと思われるので、何のことなのだろうと考えてしまいますよね。実は「胡散」自体が「怪しいさま」という意味を持っていたのです。

「きな臭い」の意味とは?

続いて「きな臭い」についてみていきましょう。

「きな臭い」には、「紙・綿・布などのこげるにおいがする・こげくさい」「戦争や事件などの何か物騒なことが起こりそうな気配がする」「なんとなく怪しい・うさんくさい」という意味があります。

「きな臭い」には「胡散臭い」と同じ、「なんとなく怪しい」という意味があることがわかります。

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「きな臭い」の「きな」って何?

では、「きな臭い」の「きな」とは何のことなのでしょうか。「きな臭い」の語源を見てみると、「きぬくさい(衣臭い・布臭い)」から転じて、または「きのくさい(木の臭い)」から転じて「きな臭い」というようになったなど、諸説あるようですが、いずれにしても「きな」とは「衣・布」や「木」のことを指しているといわれています。

「きな臭い」の「臭い」は、「におう」ことを表す「くさい(臭い)」そのままの意味です。

もともとは、本来は焦げることを想定していない布などが燃えて焦げ臭い時に「きな臭い」を用いました。

その後「きな臭い」は火薬などの臭いがする時にも使うようになり、そこから「戦争や事件が起きそうな気配がする」という際にも使用するようになったとされています。

そしてさらに「戦争や事件が起きそうな気配がする」の意味が発展し、「なんとなく怪しい」という意味としても使われるようになっていったようです。

「胡散臭い」と「きな臭い」の違いとは?

「胡散臭い」も「きな臭い」も「なんとなく怪しい」という意味があることはわかりましたね。ではこの二つの言葉には何か違いはあるのでしょうか。

「胡散臭い」と「きな臭い」の違い

この二つの言葉には共通して「臭い」が使われています。ところがこの「臭い」の意味が「胡散臭い」と「きな臭い」とでは違うのです。このことについてはすでに触れていますが、もう一度、振り返ってみましょう。

「胡散臭い」の「臭い」は「…のような様子である」という意味で、「きな臭い」の「臭い」は「におう」という意味です。

「きな臭い」の「臭い」のほうが、鼻から感じるにおいのことで、普段からよく使う「くさい」の意味ということになります。

「胡散臭い」は、漠然と疑わしく感じたり、不審に感じたりする時に使い、「きな臭い」は語源の「焦げて臭いこと」からもわかるように、実際に何かを感じ取って怪しいと思う時に使用する、このような違いがあると考えられます。

同じ「怪しい」という意味でも、「胡散臭い」はなんとなく嘘っぽさを感じる怪しさ、「きな臭い」は悪いことが起こりそうな気配のする怪しさを表すといえるでしょう。

「胡散臭い」と「きな臭い」の使い方

ここでは「胡散臭い」と「きな臭い」の例文をあげてみたいと思います。

「胡散臭い」
・あの人の言うことは、何でもおおげさすぎて胡散臭い
・彼が胡散臭く見えるのは、派手な格好のせいだろうか
・どんな病気でも元気になりますよ!などという商品は胡散臭くてとても買う気にならない

「きな臭い」
・向かいの店では、夜な夜なきな臭い集まりがある
・きな臭い話には決してのってはいけない
・彼女のバイト先の店長は、きな臭い噂が絶えない

まとめ

「胡散臭い」と「きな臭い」についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。同じような意味でも、微妙な違いがあるので、正しく使い分けられるようにしたいですね。

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