オリンピックと同じ年に同じ国で開催されるパラリンピックと違う年に違う国で開催されるデフリンピック。
ふたつとも「障害を持つ人のオリンピック」というイメージだと思います。
中には「パラリンピック」は聞いたことあるけど「デフリンピック」って何?という人もいるはずです。
この記事では、このふたつの由来や歴史の違いについて紹介します。
パラリンピックとデフリンピックの違い
パラリンピックとデフリンピックの違いを知る前に、まずは共通していることを紹介します。
・障害者のスポーツ大会 ・4年に1度開催される ・夏季大会と冬季大会がある ・〇〇リンピックの名称はオリンピックから
では、違いについて詳しく見ていきましょう!
パラリンピックとは?
パラリンピックは、国際パラリンピック委員会(IPC)が主催する、身体障害者を対象とした障害者スポーツの総合競技大会です。
・肢体不自由(したいふじゆう)手足の欠損や麻痺
・脳性麻痺(のうせいまひ)脳の損傷
・視覚障害(しかく)目の機能が日常生活などで不自由
・知的障害(ちてき)頭脳を使う知的行動に支障
日本では元厚生労働省所管であった公益財団法人日本障害者スポーツ協会(JPSA)の下にある、日本パラリンピック委員会(JPC)が、商標保護や選手団の派遣を行っています。
現在は、厚生労働省から文部科学省に移管されました。
デフリンピックとは?
デフリンピックは、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD、CISS)が主催する、聴覚障害者を対象としたスポーツ競技大会です。
・聴覚障害(ちょうかく)耳が不自由=ろう
パラピンピックには、聴覚障害者の競技種目が無いため、参加できません。
日本では一般財団法人全日本ろうあ連盟スポーツ委員会が運営しています。
スペシャルオリンピックスもある
スペシャルオリンピックスは、知的発達障害のある人を対象とした、成果の発表の場としての競技会を提供する国際的なスポーツ組織です。
障害者スポーツの大会はパラリンピックとデフリンピック、スペシャルオリンピックスがあります。
意味と由来(歴史)の違い
パラリンピックは、夏季は1960年、冬季は1976年に第1回大会が開催されました。
デフリンピックは、夏季は1924年、冬季は1949年に第1回大会が開催されました。
デフリンピックの方が先に始まりましたが、認知度は圧倒的にパラリンピックの方が高いです。
2014年に日本財団パラリンピック研究会が行った調査結果は、パラリンピックが98.2%、デフリンピックは11.2%でした。
オリンピック直後に同じ場所で開催するパラリンピックは、新聞やニュースでも取り上げられることが多いので当然ですね。
パラリンピックの名称
パラリンピック(Paralympic)はパラプレジア(Paraplegia=脊髄損傷(せきついそんしょう)等による下半身麻痺者)とオリンピック(Olympic)の造語であったとされています。
当初は車椅子を利用する選手のための大会でした。
また、「パラ」+「リンピック」=「パラリンピック」という語呂合わせは日本人の発案で、愛称として使用と言われています。
1985年に「パラリンピック」の名称を用いることを正式に認め、この大会から半身不随者以外も参加するようになりました。
この時に現在の意味であるパラレル(Parallel、平行)+オリンピックで「もう一つのオリンピック」の意味で解釈されました。
正式名称になったのは、国際オリンピック委員会(IOC)が直接関わるようになった、1988年のソウル大会からです。
デフリンピックの名称
デフリンピック(Deaflympics)は、「ろう者(Deaf)+オリンピック(Olympics)」の造語で「ろう者のオリンピック」という意味があります。
設立当初は国際ろう者競技大会という名称でした。
その後1967年に世界ろう者競技大会( World Games of the Deaf)に名称が変わります。
正式名称になったのは、国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受けた2001年からです。
現在は国際パラリンピック委員会の組織から離れています。
理念の違い
パラリンピックは、戦争で負傷した兵士たちのリハビリテーションとして「手術よりスポーツを」の理念で始められました。
一方デフリンピックは、ろう者仲間での記録重視の考えで始まりました。
現在は両方とも障害の存在を認めた上で競技における「卓越性」を追求する考えになっています。
あとがき
国際オリンピック委員会が「オリンピック」という名称の使用を許可しているのは、パラリンピック、デフリンピック、スペシャルオリンピックスの3つです。
全て障害者の為のスポーツ大会ですが、由来や歴史に違いがある為、同時に開催されません。
2020年は東京でパラリンピックが開催されます。ぜひ、応援に行ってみては!