「違和感を感じる」は誤用!?「違和感」の正しい使い方を覚える!

「違和感を感じる」と聞いて、みなさんはどう思いますか?これは正しい使い方でしょうか。それともどこかおかしいと感じますか?

この「違和感を感じる」という表現は誤用であると指摘されることがあります。しかし、その反対で誤用ではないとする意見もあるという、なかなか難しい言い回しなのです。

この記事では、「違和感」の言葉の意味から「違和感を感じる」という表現が誤用であるのか否かを、そして「違和感」の正しい使い方を調べていきたいと思います。

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「違和感」の意味とは?

「違和感」の意味は「ちぐはぐで、しっくりしないこと」です。例えば、周りの人に溶け込んでいない気がすることや、肩が痛いと感じること、新しく購入した家具が他のものと調和しないと思うこと、これらの感覚を「違和感」といいます。

「違和感を感じる」とは?

では、「違和感を感じる」とはどのような状態なのでしょうか。簡単に考えれば「しっくりしないと感じること」を表現しています。

「この陶芸家の作品は、あえて歪みを作り上げているのが特徴だが、私は違和感を感じる」このように使われます。

歪みが特徴だけれど、私にはしっくりこない作品だと感じていることを「違和感を感じる」という表現を用いて伝えています。

さて、ここで問題になるのは、このような形で使われている「違和感を感じる」という言い回しです。この言い回しが誤用であるとする見解、誤用ではないとする見解の両方が存在することは冒頭でも述べました。次ではそのことについて詳しくみていきます。

「違和感を感じる」は誤用か否か

ここでは「違和感を感じる」という表現が誤用であるとする側、誤用ではないとする側のそれぞれの主張を取り上げてみたいと思います。

「違和感を感じる」は誤用だ!

まずは「違和感を感じる」という言い回しは誤用であるとする意見からご紹介します。

日本語には重言(じゅうげん・じゅうごん)といわれる表現があります。重言とは同じ意味の言葉を重ねた言い方のことです。

重言としてよく例にあげられる言葉に「頭痛が痛い」「危険が危ない」「馬から落馬する」といったものがあります。これらの例を聞いて、何をいいたいのか、ピンときた人もいるのではないでしょうか。

「頭痛が痛い」では、「頭痛」という単語だけで頭が痛いということを表しているので、その「頭痛」に「痛い」をつけてしまっては、痛いという言葉が重なってしまうというものです。

「危険が危ない」もこれに同じで、「危険」そのものが危ないことを表しているため、「危険が危ない」ではさらに「危ない」を重ねることになります。

「馬から落馬する」も同じく「落馬する」自体が馬から落ちることを意味しているので「馬から落馬する」では「馬」が重複してしまう、これが重言といわれるものです。

「違和感を感じる」という表現をこの重言の例にならって解釈すると、「違和感」の中に既にある「感」に「感じる」を重ねることになります。

これでは「感じる」の重言になってしまうため、「違和感を感じる」という言い方は誤用である!とするのが、誤用派の主張です。

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「違和感を感じる」ではなく、「違和感を覚える」や「違和感がある」と表現する方が適切であるといった見解を示しています。

「違和感を感じる」は誤用ではない!

さて次は、「違和感を感じる」は誤用ではないとする意見についてみていきましょう。

こちらは「違和感を感じる」が誤用であるとする解釈に基づき、それを否定することにより誤用ではないという見解を述べています。それは、誤用派が主張する重言を、重言ではないとするものです。

誤用ではない派は「違和感を感じる」の「違和感」とは、しっくりしないという感覚そのものを指すもの、例えば「痛み」や「寒さ」のように、痛いという感覚、寒いという感覚、その感覚自体を指し示すものだと考えます。

そうだとすると、「痛みを感じる」「寒さを感じる」のように、感覚そのものを感じると表現することは間違っておらず、「感じる」の重言にはあたらないため、「違和感を感じる」という言い回しは、誤用ではないとの主張をしています。

また、「違和感を覚える」が適切だとする意見に対しても、ここでの「覚える」は「感じる」の意味として使われているため、結局は「感じる」を用いても同じであるとする意見があります。

「覚える」を調べてみると、「記憶する」「習得する」の意味のほかに、確かに「体や心で感じる」という意味を持っています。

そしてこの場合の「覚える」とは「感じる」の意味で使われていると考えるのが適当といえるでしょう。

「違和感」の正しい使い方

「違和感を感じる」は誤用であるとする見解と、誤用ではないとする見解の両方をみてきましたが、果たしてどのように使えば正しいといえるのでしょうか。

結局、「違和感を感じる」は誤用なの?それとも誤用じゃないの?

双方の主張から考えると、「違和感を感じる」は「頭痛が痛い」などと同じで、重言であるから誤用であるとするのは少し強引なように思います。

「違和感を感じる」とは感覚そのものを指して感じると表現したもので、誤用ではないとする方が自然なように感じられました。

しかし、誤用と考える人もいることから、あえて間違いと捉えられる可能性のある「感じる」という表現を使わなくてもいいようにも思います。

そこで、最後に「違和感を感じる」の「違和感」のあとに続ける「感じる」以外の置き換えの言葉をあげておきましょう。

「違和感」の使い方

「違和感を覚える」これは先ほどから出ていますね。ほかには「違和感を抱く」「違和感がある」このような言い方があげられます。

・今朝、起き上がろうとした時に、腰に違和感を覚えた
・ふと迷い込んでしまったこの場所に、なんとも言えない違和感を抱いた
・君の話していることは、つじつまが合わず、違和感がある

まとめ

言葉の表現の仕方により、その受け取り方も様々で、正しいと思っていても、相手がそうでないと感じていれば間違った使い方をしていると捉えられてしまいます。

「違和感を感じる」のように、少しでも正しく伝わらない要素があるとしたら、その表現は避けて、別の言葉に置き換えた方が無難といえるかもしれませんね。

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