誰かに謝罪や感謝、依頼するとき使える便利な言葉「すみません」と「すいません」
なぜ使う人によって違いがあるのでしょうか?どっちが正しいのか気になりますよね。
今回は、すみませんとすいませんの意味と敬語を紹介します。
すみませんとすいませんの違い
結論から言うと、すみませんとすいませんの意味に違いはありません。
意味は、相手への謝罪、感謝、依頼の気持ちを込めて使う言葉です。
どっちも意味は同じですが、語源に違いがあります。
すみませんの語源
すみませんは、動詞の『済む』に打消しの助動詞『ぬ』がついた『すまぬ』を丁寧語にした『すみませぬ』が語源になっています。
この『すまぬ』の『ぬ』を『ない』に変えて『すまない』という言葉になります。
この『すまない』は、自分の気持ちが済まないことを言います。
『済む』には、物事が終了する。解決する。気持ちがおさまる。などの意味があります。
自分自身が本体遂行(すいこう)するべき仕事を、完了させる(済ませる)とこができなかったときに、『すみません』と使うのが正しい使い方になります。
すいませんの語源
すいませんは、『すみません』の俗な言い方です。
俗な言い方と言うとわかりにくいですが、ただ言いやすくしたという事になります。
簡単に言うと話し言葉です。
関西弁の、『すんません』や『すんまへん』も同様です。
どっちが正しい?
すいませんは、話し言葉なので、会話で使う時は間違いではありません。
しかし、文章で書くときは『すみません』を使うのが正解です。
試しに『すみません』と『すいません』を英語に翻訳したら、どっちも『Excuse me』になりました。
しかし『Excuse me』を日本語に翻訳した場合、『すみません』しか表記されませんでした。やはり、文章になると『すみません』になるのです。
またエクスキューズミー意味は、『ごめんなさい』や『失礼します』となり、ありがとうの意味は出てきませんでした。
感謝する言葉は『すみません』より『ありがとう』を使った方が良さそうですね。
すみませんを敬語にすると
日常会話で『すみません』や『すいません』は万能ですが、敬語で話す場合は、万能ではなくなります。
正しい敬語を使い、相手に好印象を与えましょう。
謝罪をする時は?
まずは3つの文章を比べてみましょう。
1.ご迷惑をお掛けしてすみません。
2.ご迷惑をお掛けして(大変)申し訳ありません。
3.多大なご迷惑をお掛けして、心から申し訳なく存じます。
3つの文章の違いはわかりましたか?
1番は軽い謝罪には使えますが、敬語表現で正しいのは2番になります。3番は状況に応じて使います。
謝罪する時には、『申し訳ありません』を使いましょう。
感謝をする時は?
すみませんは、日常で親しい間柄の人にお礼を言うときに使う言葉です。ちょっとしたお礼には使えますが、感謝をする時は『ありがとうございます』を使い、相手に感謝の気持ちを伝えましょう。
これに、『どうも』、『本当に』、『誠に』を付けて、『誠にありがとうございます』にすると、より丁寧な敬語表現になり、目上の人にも失礼がありません。
しかし改まったあいさつの文面では、『御礼(おんれい)申し上げます』や『感謝申し上げます』などが一般的です。
他には『恐れ入ります』で、感謝を表す事も出来ます。
例えば目上の人から「〇〇さん、カッコいいね」と褒められた場合、否定すると相手の機嫌を損なう場合もあります。
ここで「ありがとうございます」と言うのは、恥ずかしいですよね。
こんな時に便利な言葉、『恐れ入ります』
依頼する時は?
先ほど紹介した『恐れ入ります』は、依頼する時のクッション言葉としても使える便利な言葉です。
例えば、お客様が来た際に、上司に取り次ぐ場合。
1.あなた「すみません。お名前を伺ってもいいですか?」お客様「〇〇です」→あなた「〇〇様ですね。すみません。ちょっとお待ちください」
2.あなた「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」お客様「〇〇です」→あなた「〇〇様ですね。恐れ入りますが、少々お待ちくださいませ」
1番は失礼な印象を相手に与えてしまいます。目上の人には『恐れ入ります』を使いましょう。
『恐縮です』も同じ意味で使えますよ。
気持ちが大切
正しい敬語を使っても、そこにあなたの気持ちがなければ意味がありません。
あなたは、企業の研修などで使われる『メラビアンの法則』を聞いたことはありませんか?
メラビアンの法則は、感情や態度について矛盾したメッセージが発せられた時の受け止め方について、実験を用いてまとめたものです。
この研究の結果は、話し手が聞き手に与える影響は『言語情報』が7%、『聴覚情報』が38%、『視覚情報』が55%の割合でした。
・言語情報(Verbal):話の内容が7%
・聴覚情報(Vocal):声のトーン(大きさ)やテンポ(速さ)、口調が38%
・視覚情報(Visual):表情や視線、仕草(態度)、見た目が55%
この割合から『7-38-55のルール』や、この3つの頭文字をとって『3Vの法則』とも言われます。
結局、敬語を使って謝罪しても、あなたがニコニコしながら早口だったら、受け手に与える言葉の影響は7%しかありません。
例えば次の場合、どっちがあなたに伝わりますか?
A:本当に申し訳なさそうな表情で「すいません」
B:ふてくされた態度で「申し訳ありません」
私の場合、Aは許せますが、Bは反省している態度が見えないので、許せません。
正しい敬語も大切ですが、結局は気持ちが大切です。
あとがき
「すみません」と「すいません」はどっちも同じ意味だが、「すいません」は会話で使う言葉。
相手への謝罪、感謝、依頼の気持ちを込めて使う言葉。
正しい敬語で気持ちを込めて伝えると効果的。