間違った意味で使っている人が多い言葉に「煮え湯を飲まされる」という「諺(ことわざ)」があります。
災難にあった時に使う言葉ですが、ある条件を満たしていないと誤用になります。
ただひどい目にあった場合に使う言葉ではありません。
煮え湯を誰に飲まされたのかが重要です。
それでは意味を見ていきましょう。
類義語も覚えておくと便利ですよ!
「煮え湯を飲まされる」の意味
煮え湯とは、煮えたお湯です。つまり沸騰した熱い湯のことです。
この熱湯を、飲みやすい温度になったよと勧められて飲んだら、口の中が大やけどした事が由来です。
つまり災難にあったという事ですね。
「煮え湯を飲まされる」という言葉の「飲まされる」に注目すると、誰かが勧めた熱湯を飲んだ事になります。
しかしこのひどい目にあわせた相手は一体何者でしょうか?
例えば信頼している人AさんとライバルBさんから飲み物を勧められた場合、この飲み物を疑う事無く飲める相手はどちらですか?
もちろん信頼している人Aさんですよね。
ライバルBさんから勧められた飲み物には、体に悪い物が入っている可能性がありますし、おそらく少しは疑いますよね。
つまりこの「煮え湯を飲まされる」状況では、信頼している人から勧められた飲み物を飲んだらひどい目にあったという事です。
この事から「自分が信頼している人に裏切られて、ひどい目にあう」という意味になります。
「煮え湯を飲まされる」の誤用
繰り返しになりますが、「煮え湯を飲まされる」は「自分が信頼している人に裏切られて、ひどい目にあう」という意味です。
この裏切り行為にあった事を含めないで、ただ災難にあった事だけで使用すると誤用になります。
また間違いやすい例としては、煮え湯を飲ませた相手が「信頼している人」ではなく「敵」から飲まされたと誤解して使っている人が多いようです。
こちらの動画で詳しく解説しています。
平成23年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、若い人ほど本来の意味を知らず「煮え湯を飲まされる」を使っていることがわかりました。
意味を間違えずに使う為には類義語を覚えておくと便利です。
続いて、「煮え湯を飲まされる」の類義語を見ていきましょう。
類義語【一杯食う(いっぱいくう)】
「いっぱい食う」や「いっぱい食わされた」とは、たくさん食べる事が出来て良かったという意味ではありません。
正しい意味は「うまく騙される」や「まんまと騙された」という意味です。
この類義語は相手を選ばずに使う事が出来ます。
類義語【飼い犬に手を噛まれる(かいいぬにてをかまれる)】
「飼い犬に手を噛まれる」は、愛犬が飼い主の手を噛んだ時にも使いますが、ことわざの意味は違います。
面倒をみてきた部下やかわいがっていた後輩から、裏切られた時や害を受けた場合に使います。
この類義語は、目上の人や他人に使うのは不適切です。
類義語【恩を仇で返す(おんをあだでかえす)】
「恩を仇で返す」の『仇(あだ)』は、ひどい仕打ちや恨みの事です。
つまり、上司や先輩(恩を受けている人)に対して、部下や後輩がひどい仕打ちをする事です。
類義語【ブルータス、お前もか】
劇作家ウィリアム・シェイクスピアによって有名になった格言「ブルータス、お前もか」は、悲劇「ジュリアス・シーザー」に出てくる有名なセリフです。
このセリフは、親しい人から裏切り行為にあった時に使います。
シェイクスピアを知らない人に使っても意味はありません。
あとがき
「煮え湯を飲まされる」の意味は理解出来ましたか?
・煮え湯=熱湯=災難 ・相手=信頼している人
このふたつの条件が重なった場合に使用することわざです。
相手の条件が異なる場合は紹介した類義語の中から使えそうな言葉を選びましょう!