「懐柔」と「籠絡」の意味・読み方・違い!懐柔策=アメとムチとは?

「懐柔」や「籠絡」という言葉をご存知ですか?あまり耳にしたことがなく、何と読むのかも悩んでしまうような難しい言葉のように感じるかもしれませんね。

「懐柔」や「籠絡」は、似た意味を持つ言葉なのですが、何か違いはあるのでしょうか。

また「懐柔」は「懐柔策」のような使い方もします。「アメとムチ」という表現がありますね。この「アメとムチ」と「懐柔策」との間には何か関わりがあるようです。

この記事では、「懐柔」「籠絡」の読み方と意味、二つの違いについて解説していきます。さらに、「懐柔策」と「アメとムチ」の関係についてもご紹介します。

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「懐柔」の意味とは?

「懐柔」は「かいじゅう」と読みます。ここではまず、「懐柔」の意味についてみていきましょう。

「懐柔」とは、「上手に話をもちかけて、自分の思う通りに従わせること。手なずけること。」という意味です。

手なずけるなどと聞くと、少し悪いイメージを抱く言葉ですね。自分の思う通りに従わせるのですから、何か物事を達成させるための手段として使う言葉となります。

「懐」「柔」の漢字が表す意味とは?

「懐柔」の「懐」には、「おもう・おもい」「なつかしい・なつかしむ」「なつく・なつける・したしむ」「ふところ」「いだく・身にもつ」という意味があります。

そして「懐柔」は「なつく」の意味として「懐」が用いられています。

「懐柔」の「柔」は、「やわらかい・しなやか」「おだやか・やさしい・おとなしい」「よわよわしい・しっかりしていない」「やわらげる・てなずける」「やわら・武道の一つ」という意味を持っています。「懐柔」では、「やわらげる・てなずける」の意味として「柔」が使われています。

「懐柔」は「なつく」「てなずけるという」似た意味の漢字の組み合わせでできています。

懐柔策=アメとムチとは?

懐柔策とは「懐柔」するための「策」のことです。つまり、「懐柔」の意味である「上手に話をもちかけて、自分の思う通りに従わせる」ための手段のことをいいます。

19世紀、ドイツの宰相ビスマルクは、自らの政治の実現のために、「懐柔策」として、社会保険制度により労働者を優遇する一方で、社会主義者鎮圧法を制定し、国を支配しました。

「懐柔策」としてビスマルクがとった、甘やかして譲歩する面と、厳しく弾圧する面とを併用したこの支配の方法を評した言葉が「飴(アメ)と鞭(ムチ)」です。「飴」は譲歩、「鞭」は弾圧を表します。

しつけなどにおいても、叱るだけではやる気が削がれてしまうので、たまには褒めて喜ばせるといった「飴と鞭」の方法をとることがありますね。

旨味も与えつつ、思い通りに従わせる、これが「懐柔策」=「アメとムチ」といわれるところです。

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「籠絡」の意味とは?

「籠絡」は「ろうらく」と読みます。ここでは「籠絡」についてみていきます。

「籠絡」とは、「うまくまるめこんで自分の思う通りにあやつること」という意味があります。

「まるめこんであやつる」とは、かなり強引な言葉である感じを受けますね。「懐柔」の意味とよく似ており、「懐柔」と「籠絡」は同義語になります。

「籠」「絡」の漢字が表す意味とは?

「籠」には「かご・竹などで編んだ入れ物」、「こめる・まるめこむ」、「こもる」という意味があり、「籠絡」の「籠」は「こめる」の意で使われています。

「絡」には「からむ・まとう」、「つながる・つなぐ」、「すじ・すじみち」という意味があります。「籠絡」の「絡」は「からむ・まとう」の意味です。

本来「籠絡」は「包み込む・まといつく」ことを表していましたが、それが転じて、人を自分の手の中に収めるイメージから「人を丸め込む」の意になったとされています。

「懐柔」と「籠絡」の違いと使い方

「懐柔」と「籠絡」は同義語であるといいましたが、この二つの言葉に何か違いはあるのでしょうか。また、「懐柔」「籠絡」はどのように使えばよいのでしょうか。

まずは違いから見ていきましょう!

「懐柔」と「籠絡」の違い

「懐柔」と「籠絡」の違いについて調べてみると、明確な答えは見つかりませんでした。双方の意味は同義語とされるだけあって、とても良く似ていて、どちらを使ってもあまり差はないように思います。

しかし、ここまで「懐柔」と「籠絡」を漢字の意味などを通してわかったことから、あえて考えてみると、「懐柔」相手にも何らかのメリットを与え、自分になつかせてから従わせるのに対して、「籠絡」とにかく相手を自分側へといいように丸め込み意のままにあやつるといった印象を受けました。

このことから、同じ「人を思い通りに動かす」意味でも、「懐柔」より「籠絡」の方が自分本位でより強引さを表現している、そのような違いがあるのではないかと推察してみました。

「懐柔」「籠絡」の使い方

最後に「懐柔」と「籠絡」という言葉を使った例文をあげてみたいと思います。

・彼は相手の意見をうまく取り入れることで、懐柔に成功した。
・相手を懐柔するには、それ相応の策を練ることが必要だ。
・この計画を実行するために、時間をかけて一人ひとりに根回しをして懐柔した。
・彼女の口のうまさに、籠絡された人は何人いただろう。
・現実味のない魅力的な話に耳を貸していると、いいように籠絡されてしまうよ。
・籠絡することに長けている人に捕まってしまうと、自分が操られていることにすら気がつかない。

まとめ

「懐柔」と「籠絡」、使用頻度はあまり高くないかもしれませんが、知識の量が増えることに損はありません。この機会にぜひ、覚えてみてくださいね。

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