「やぶさかでない」の意味は誤用が多い!?分かり易く言い換えよう!

「やぶさかでない」という言葉を知っていますか?日常ではあまり耳慣れないというのが正直なところかもしれません。

「やぶさかでない」を知っていたとしても、その意味は誤用されていることもよくあるため、正しい意味を理解しておく必要があります。

この記事では「やぶさかでない」の正しい意味と誤用に関して、さらに、分かり易い言い換えなど、使い方についても解説していきます。

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「やぶさかでない」の意味と語源、誤用について

「やぶさかでない」は漢字で「吝かでない」と書きます。また、「やぶさかではない」とも言います。それでは「やぶさかでない」の意味をみていきましょう。

「やぶさかでない」の意味

「やぶさかでない」とは「〜する努力を惜しまない」「喜んで〜する」という意味です。

語尾が「ない」で終わっている言葉であるため、否定的な意味を持つと思うかもしれませんが、そうではなく、肯定的な言葉です。「積極的に〜する」という、非常に前向きな姿勢を表しています。

「吝か」とは?

「吝かでない」は「吝か」という単語に否定の「〜ない」が付いてできています。

「吝か」は「物惜しみするさま」「けちなさま」「思い切りの悪いさま」「ためらうさま」という意味です。

「あまりやりたくない」「気が進まない」といった後ろ向きな感情が含まれた言葉といえるでしょう。

「吝か」という単語だけだと、どちらかというと消極的な意味に感じますね。この消極的な言葉に否定の「ない」が付くと「ためらう」「物惜しみする」という意味が「ためらわない」「物惜しみしない」と肯定的になり、「努力を惜しまない」「喜んでする」という積極的な意味へと変化します。

「やぶさかでない」とは「喜んで〜する」という肯定的な、積極的な意味を持つ言葉なのです。

「やぶさかでない」の語源

「やぶさか」は、物惜しみするという意味の動詞「やふさがる」、けちである意味の形容詞「やふさし」という平安時代の言葉が語源であると考えられています。

鎌倉時代中期以降になると、「やふさがる」「やふさかし」は用いられなくなり、新たに「やふさか」という言い方が生まれ、その後「ふ」が濁音化し「やぶさか」へと、時代の流れとともに変化していったとされています。

そして現代では「やぶさか」単独で使われることはほとんどなく、否定の「ない」が付いた「やぶさかでない」という形で肯定的な意味として用いられるようになりました。

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「やぶさかでない」の誤用

「やぶさかでない」は、その意味を正しく理解しておらず、本来の意味とは違った意味として捉えている人が多い言葉でもあります。

文化庁が発表した平成25年度の「国語に関する世論調査」では、「協力を求められればやぶさかではない」を、本来の意味とされる「喜んでする」で使う人が33.8%、本来の意味ではない「仕方なくする」で使う人が43.7%と、誤用している人の方が多いという結果が出ているようです。

「やぶさかでない」の本来の「喜んでする」という意味と、誤用の「仕方なくする」という意味とでは、同じ「する」でもそれに挑む姿勢が、正しくは積極的であるのに対し、誤用ではいやいやながらとなってしまうため、全く異なってしまいます。

「やぶさかでない」の使い方 分かりやすく言い換えると?

それでは「やぶさかでない」は実際にどのように使うのかを、例文とともにみていきたいと思います。

「やぶさかでない」の例文

aそのグループに所属することにやぶさかでない
b君の頼みであるならば、協力することにやぶさかでないと言ってくれた友人に感謝している
cあなたが高く評価されることにやぶさかではありません
d彼の提案に従うことにやぶさかではありません
e時給を上げることにやぶさかでないとの店長の言葉は本当だった

「やぶさかでない」を分かり易く言い換えよう!

「やぶさかでない」の意味を分かり易く言い換えるにはどのような言葉があるでしょうか。

まずは「やぶさかでない」の意味に当たる、「喜んで〜する」「〜する努力を惜しまない」に言い換えることができます。
例文のaとbにそれぞれを当てはめてみましょう。

aそのグループに喜んで所属する
b君の頼みであるならば、協力する努力を惜しまないと言ってくれた友人に感謝している

他には「やぶさかでない」と類似した意味を持つ「異存はない(反対の意見はない)」「快諾する(快く承諾する)」「異論はない(別の意見はない)」などがあります。例文c、d、eを置き換えてみます。

cあなたが高く評価されることに異存はありません
d彼の提案に従うことを快諾する
e時給を上げることに異論はないとの店長の言葉は本当だった

このように「やぶさかでない」を別の言葉で表現することができます。この中でも、「喜んで〜する」と言い換えるのが最も分かり易いかもしれません。

さいごに

「やぶさかでない」は日常的にはあまり使うことはないと思われる言葉ですが、起源は平安時代にまでさかのぼるというだけあって、どことなく古めかしさも感じますね。

誤用されていることも多いので、喜んでするという正しい意味で使ったとしても、仕方なくするのかと誤解を与えてしまう恐れもあるので、使用するには注意が必要となる言葉です。

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