「あたぼうよ」の意味とは?「べらぼう」と「べらんめえ」の語源も!

「あたぼうよ」というせりふ。下町を舞台にしたドラマや時代劇などでいわゆる江戸っ子と呼ばれる人々が口にしているのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

東京の下町で育った、住んでいる、職場があるなど、なんらかの関わりを持ったことのある人の中には実生活でも馴染みの言葉だと感じる方もいるかもしれませんね。

かつて東京の下町で寿司職人の修行をしていたことがある私のおじは、その時代に覚えたのか「あたぼうよ」や「べらぼうめ」と言っているのをたまに聞くことがあります。

これらの言葉は東京の下町(かつての江戸)で、主に職人の間で使われていたとされる江戸言葉で、その威勢の良さから「べらんめえ口調」ともいわれます。

この記事では「あたぼうよ」とはどのような意味なのか、また「べらぼう」と「べらんめえ」の語源もあわせて探っていきたいと思います。

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「あたぼうよ」とはなに?

「あたぼうよ」という言葉の雰囲気からなんとなく想像できている意味がみなさんの中にもあると思います。ではそれが正解なのかをみていきましょう。

「あたぼうよ」は略語だった!

「スマホ」「コピペ」「あけおめ」など、みなさんも聞いたこと、使ったことがありますよね?

これらの言葉はそれぞれ「スマートホン」「コピー&ペースト」「あけましておめでとう」を簡略したものです。

若者の間でよく使われる本来の言い方を縮めて表現するこの略語。実は昔から存在していました。

そして「あたぼうよ」はまさにその略語であり、「当たり前だ、べらぼうめ」という言い方が元の言葉で、それを縮めてできあがった言葉が「あたぼうよ」なのです。

「あたぼうよ」の意味

さて、「当たり前だ、べらぼうめ」の略語だということからわかるように「あたぼうよ」とは「当たり前だ」という意味です。みなさんの想像は当たっていましたか?

しかし、ここで気になってくるのが「あたぼうよ」に略す前の「べらぼう」ですよね。いったい「べらぼう」とはなんでしょう。次では「べらぼう」についてお話したいと思います。

「べらぼう」の語源や意味とは?「べらんめい」とは?

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この服べらぼうに高い、今日はべらぼうに暑いなど、聞いたことはありませんか?

この場合「べらぼう」は「とても」「ものすごく」という意味で使用されています。

ではどのようにして「べらぼう」という言葉が出てきたのでしょう。ここからは「べらぼう」について、もう少し詳しく説明していきます。

「べらぼう」の語源

江戸の昔、見世物小屋(みせものごや)と呼ばれる、芸人による芸や超人たちのショーなど、大衆がお金を支払って娯楽を楽しむ場所がありました。

今でいうところのサーカスのようなものと考えるといいかもしれません。

そこの見世物として全身が真っ黒で頭は尖り目は赤く、あごが猿に似ているという姿の醜い奇人がおり、間の抜けたような仕草で大衆を笑わせて評判になっていたといいます。

その奇人は「便乱坊(べらんぼう)」「可坊(べくぼう)」と呼ばれており、「馬鹿」や「阿呆」の意味としてその奇人の呼び名から取り「べらぼう」という言葉が生まれたそうです。

「べらぼう」の意味

やがて「馬鹿」や「阿呆」という人を罵る(ののしる)言葉は、その奇人のように、普通でない者に対して使われることから、程度のひどいことや筋の通らないことの意にまで派生し、使用されるようになったと言われています。

「べらぼう」とは、人を罵る馬鹿や阿呆という意味と、そこから派生した程度がはなはだしいこと、普通では考えられないことの意味をもっています。

先に例えた「べらぼうに高い」「べらぼうに暑い」のときは「とても」や「ものすごく」という程度の意味で使われています。

また、「べらぼうめ」とは強調の「め」が「べらぼう」に接尾語としてついたもので、「べらんめえ」とは「べらぼうめ」が音変化をしたものであり、人を罵っていう語だそうです。

「べらぼうめ」の使い方は他にも「てやんでえ(てやんでい)べらぼうめ」などがあります。これは「何を言ってやがるんだ」と相手の言葉を否定するときに使います。

あとがき

以上、ここまで「あたぼうよ」の意味から「べらぼう」「べらんめい」についても説明してきました。

「当たり前だ、べらぼうめ」が略されて「あたぼうよ」という言葉ができたこと。現代とも通ずるところがあっておもしろいですね。

早口でまくしたてるような言い回しの江戸言葉。ぶっきらぼうで怖そうに感じることもあるかもしれません。みなさんはどのような印象をもたれましたか?

もし東京の下町を訪れ食事をするような機会があったとしたら、その店の店主にぜひ一度話しかけてみてください。

「この料理、とてもおいしいですね」と。

「あたぼうよ!」

もしかしたら威勢のよいべらんめえ口調の江戸言葉を聞くことができるかもしれませんよ。

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