やむを得ない・やむを得ず・やむにやまれぬの意味!「やむ」って何?

「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」は同じような言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか?

「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」どの言葉にも「やむ」が使われているのですが、この「やむ」とは何のことなのでしょうか。

耳慣れた言葉でも、掘り下げてみると意外と知らないことがあるものですよね。

この記事では「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」の意味を解説するとともに、「やむ」が何であるのかについても探ってみたいと思います。

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「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」の意味とは?「やむ」とは何?

それでは「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」これらの言葉の意味、また、「やむ」とは一体何のことなのかについてみていきましょう。

やむを得ないほかにどうすることもできない。仕方がない。
やむを得ず仕方なく。やむなく。
やむにやまれぬやめようとしてもやめられない。そうするよりほかない。

「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」は上記のように同じ意味を持つ言葉です。いずれも「どうすることもできない」「仕方がない」という「本当は嫌だけれど、そうするよりほかにどうしようもない」といった状況を表しています。

「やむ」とは何のこと?

「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」の「やむ」を漢字で書くと「已む」または「止む」となります。

「已む」も「止む」も意味は「物事が終わりになること」つまり「やめる」ことです。

「目的地に到着したので、電車の中で本を読むのをやめた」このように今までしていたことを中止するときに「已める」「止める」は使用します。

普段からごく当たり前のように使っていますね。「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」の「やむ」もこれと同じなのです。

「やむを得ず」の語源とは?「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」の使い方!

ここでは「やむを得ず」の語源をみてみましょう。さらに、「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」を使用した例文をあげていきます。

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「やむを得ず」の語源

「やむを得ず」は、もともとは「止む事を得ず」という表現であったのが、それを略して「やむを得ず」となったそうです。

「止む事を得ず」という言葉は、鎌倉時代に吉田兼好によって書かれた文学作品「徒然草」の中での使用がみられます。

その文章とは「一日の中に、飲食・便利・睡眠・言語・行歩、止む事を得ずして、多くの時を失ふ」という一文です。

これを現代語にすると、「一日の中に、食事・トイレ・昼寝・おしゃべり・散歩など、止める事ができない用事で多くの時間を失ってしまう」となります。

「止む」は「やめる」の意味でしたね。「得ず」は「できない」という意味です。そしてこの二つの言葉でできた「止む事を得ず」は「止める事ができない」という意味として「徒然草」の中で使われており、これが「やむを得ず」の語源であるとされています。

さらに「止めたくても止める事ができない」という意味から「どうすることもできない」「仕方がない」という意味にまで発展していったと考えられます。

「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」の使い方

それではここで「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」を使った例文をあげておきたいと思います。

・誰も役員をやりたい人がいなかったので、やむを得ず私が引き受けた
(誰も役員をやりたい人がいなかったので、どうしようもなく私が引き受けた)

・ご家族が病気では、彼が急に予定をキャンセルしてもやむを得ない
(ご家族が病気では、彼が急に予定をキャンセルしても仕方がない)

・子供が泣くので、やむを得ず途中で電車を降りた
(子供が泣くので、仕方なく途中で電車を降りた)

・この雨では、今日の運動会の中止はやむを得ない
(この雨では、今日の運動会の中止は仕方がない)

・やむにやまれぬ事情で、友人との旅行を断った
(やめようにもやめられない事情で、友人との旅行を断った)

・経済的な理由から、やむにやまれぬ思いで、泣く泣く大学の退学を承知した
(経済的な理由から、そうするよりほかない思いで、泣く泣く大学の退学を承知した)

まとめ

「やむを得ない」「やむを得ず」「やむにやまれぬ」いずれも「仕方がない」という意味を持っていることは、なんとなくご存知だったと思います。

このなんとなくの知識をより完全なものにするために、「習っていないのだから、そこまで知らなくても、やむを得ない」ですませるのではなく、その言葉に興味を持ち、調べてみることで、これまでの理解がさらに深まるのではないでしょうか。

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