「奇をてらう」という言葉をご存知ですか?例えば「彼の奇をてらった行動はみんなの注目を集めた」のように用いますが、「奇をてらう」とは一体どのような状況を表しているのでしょうか。
この記事では「奇をてらう」の意味と、「奇」と「てらう」とは何であるのかも含めて解説していきます。
「奇をてらう」の意味とは?
「奇をてらう」には、「風変わりなことをして、人の関心を引く」や「わざと普通と違うことをして人の注目を引こうとする」という意味があります。
「奇をてらった髪型」と表現したとすれば、人の注目を集めるような変わった髪型ということになります。
あえて人と違ったことをして、周囲の注目を集めようとする振る舞いを表現したのが「奇をてらう」という言葉です。
「奇をてらう」を使った例文
ここでは「奇をてらう」を使った例文をあげてみます。
・彼女の奇をてらったファッションは、好き嫌いの好みが分かれるだろう
・彼らは奇をてらって、人混みの中で突然、踊り始めた
・あの学生の美術作品は奇をてらいすぎている
・彼の小説が売れたのは、奇をてらった作風が人気となったからだ
・その店のメニューは、奇をてらったものばかりで、万人受けするとはとても思えない
「奇をてらう」の「奇」と「てらう」の意味とは?
次に「奇」と「てらう」とは何を表しているのかを知ることで、「奇をてらう」がどのように成り立っているのかをみていきましょう。
「奇」の意味とは?
「奇」には、「普通と違っていること」「珍しいこと」「不思議なこと」という意味があります。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。これは英国の詩人・バイロンの言葉ですが、「世の中の実際の出来事は作り物の小説よりも不思議で変わったことがある」という意味です。
普通とは異なり、変わっていて不思議なこと、珍しいことの意味を持つ「奇」を使った言葉に「奇人」「奇妙」「奇行」などがあります。
「奇人」とは、性格や言動が普通とは異なっている人のこと、「奇妙」とは、普通にはない不思議なことや、珍しいこと、「奇行」とは、普通の人のしない変わった行動を意味します。
「奇人」「奇妙」「奇行」のいずれも、「奇」の持つ意味そのままに、風変わりであるさまを表す言葉となっていますね。
「てらう」の意味とは?
「てらう」を漢字で表すと「衒う」と書きます。「てらう」には「自分の才能や知識をひけらかす、みせびらかす」という意味があります。
例えば「あの人はいつも才をてらうので、人からあまりよく思われない」のように使われた場合、「あの人はいつも自分の才能をひけらかすので、人からあまりよく思われない」という意味になります。わざと周りに自分の知識を見せつけるのですから、あまりいい気分はしませんね。
「奇をてらう」は、普通とは違って変わっていることの意味である「奇」と、知識や才能をひけらかす意味の「てらう」が結びついてできている言葉です。
「奇をてらう」と似た意味を持つ言葉
「奇をてらう」と同じような言葉として「奇抜(きばつ)」や「奇矯(ききょう)」や「突飛(とっぴ)」などがあります。
「奇抜」とは、「思いもよらないほど風変わりであること」「ひときわ優れていること」という意味があり、「奇をてらう」と同類で使われるのは「風変わりであること」の方の意味です。「奇抜なデザイン」のように使います。「奇抜」は比較的、よく使う表現ではないでしょうか。
「奇矯」とは、「言動などが普通の人とひどく違っていること」という意味で、「奇矯な振る舞い」などのように使用します。
「突飛」とは、「行動が並み外れて風変わりであるさま」を表します。「突飛な発想」といった使い方をします。
「奇抜」も「奇矯」も「突飛」も、普通と違っていて風変わりであることを表し、「奇をてらう」と似ているところがある言葉です。
まとめ
「奇をてらう」振る舞いは、人の目を引くという点では効果的であると思いますが、風変わりであるがゆえに、それが受け入れられるかどうかは微妙なところでしょう。奇をてらったことをするには、それなりの覚悟が必要なのかもしれませんね。