溜飲が下がる・溜飲を下げるの意味と使い方!溜飲を晴らすは誤用!?

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」という言葉をご存知ですか?「溜飲が下がる思いだ」「溜飲を下げることができた」などのように使うのですが、テレビや新聞などで見聞きしたことがあるかもしれませんね。

この「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」とは、どのような意味で、どのような時に使用するのでしょうか?

また「溜飲を晴らす」と表現されることもあるのですが、その使い方は正しいのでしょうか。それとも誤用なのでしょうか。

この記事では「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の意味と使い方、さらに「溜飲を晴らす」は誤用なのかについて解説していきます。

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「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の「溜飲」の意味とは?

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の「溜飲」とは何のことなのでしょうか。まずは「溜飲」について調べてみたいと思います。そして「溜飲」を理解した上で、「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の意味をみていきましょう。

「溜飲」は「りゅういん」と読みます。「溜飲」とは「胃の消化作用が不十分で、飲食物が胃にとどこおり、酸っぱい胃液が喉に上がってくること」このような状態を表す言葉です。

胃がムカムカして、口の中が酸っぱい感じになった経験はありませんか?まさにそれが「溜飲」というわけです。この「溜飲」が起こると、なんとも言えない不快な感覚で嫌な気分になりますよね。

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の意味

「溜飲」の意味がわかったところで、「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」とはどういう意味なのかをみていきましょう。

「溜飲が下がる」とは「不平・不満・恨みなどの胸のつかえがおりて、すっとする、気が晴れる」という意味です。

「溜飲を下げる」とは、「胸をすっきりさせる」「不平・不満・恨みなどを解消して気を晴らす」という意味です。

「溜飲」は説明した通り、胃がおかしくて胃酸が上がり、不快な状態を示すことから、「溜飲」を不平・不満・恨みなどですっきりしない気持ちを表す言葉として用いて「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」という言い方ができたのでしょう。

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の使い方

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ここでは「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の使い方について例文をあげながら説明していきます。

「溜飲が下がる」の使い方

「溜飲が下がる」は、何かをきっかけとして胸のつかえが取れて、気が晴れる状況で使います。モヤモヤしたり、ムカムカしていた嫌な気持ちが解消されて、すっきりとした状態に戻ったことを表しています。

・問題が解決して溜飲が下がった
・喧嘩をしていた相手が笑って話しかけてきたので、ようやく溜飲が下がった
・理不尽な振る舞いをするお客に対して、店長がうまく注意をしてくれたので、溜飲が下がった

「溜飲を下げる」の使い方

「溜飲を下げる」は、自らが積極的に何かをして、胸のつかえを解消し、気分を晴らす時に使います。

・テストの成績が悪くて悔しかったので、必死に勉強して満点を取ることで溜飲を下げた
・前回、負けた対戦相手に、今回の試合で勝って溜飲を下げたい
・いつも嫌味を言われるばかりだったが、今日は言いたいことを言って溜飲を下げた

「溜飲を晴らす」は誤用なのか?

「溜飲を晴らす」という言い方がされることがありますが、この言い方は果たして正しいのでしょうか。

「溜飲を晴らす」は誤用

「溜飲を晴らす」は「溜飲を下げる」と同じ意味として使われているのだと考えられますが、「溜飲を晴らす」という言い回しは間違いです。

文化庁が2017年度に発表した「国語に関する世論調査」によると、本来の言い方とされる「溜飲を下げる」を使う人が37.4%、本来の言い方ではない「溜飲を晴らす」を使う人が32.9%という結果が出ているようです。

「溜飲を下げる」の意味が「気を晴らす」ことであるため、それと混同して「溜飲を晴らす」と言うようになってしまったのかもしれません。

また、「鬱憤(うっぷん)を晴らす」との混同も原因のひとつと言えるでしょう。

誤用を防ぐためには?

「晴らす」とは「心のわだかまりを取り除く」ことです。「晴らす」は、モヤモヤとする「気分」に対して用いる言葉です。

「溜飲」とは「胃酸が逆流して酸っぱい液が上がってくること」でしたね。この上がってきた胃酸を下げることができれば気持ちの悪さはすっきりします。このことから、「溜飲」は「晴らす」ではなく「下げる」の方が適切であると理解することができるでしょう。

まとめ

「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」の意味と使い方について説明してきましたが、いかがでしたか?

「溜飲を晴らす」は誤用です。意味を正しく理解して、きれいな言葉を使えるようにしたいですね。

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