独擅場と独壇場の意味とは?違いは読み方と『偏(手・土)』だけ?

「独擅場」「独壇場」この二つの言葉をご存知ですか?
「独◯場」の◯部分に注目してください。一方は手偏「擅」でもう一方は土偏「壇」です。読み方も「独擅場」と「独壇場」では異なります。

「独擅場」と「独壇場」見た目によく似たこの二つ、どのような違いがあるのでしょうか。

この記事ではそれぞれの意味と、違いは読み方と『偏(手・土)』だけなのかについて詳しく解説していきます。

スポンサードリンク

手偏の「独擅場」と土偏の「独壇場」その読み方は?

「独擅場」と「独壇場」これらの言葉の意味を知るにあたり、まずは読み方から説明します。

「独擅場」の読み方

「独擅場」の読み方は「どくせんじょう」です。

「擅(せん)」には、ほしいまま独り占めにする。勝手気ままにする。という意味があります。

「独壇場」の読み方

「独壇場」の読み方は「どくだんじょう」です。

「壇(だん)」には、他より一段高くした場所という意味があります。

「擅(せん)」と「壇(だん)」では偏も違えば、読み方も意味も異なります。

では、この漢字を含む「独擅場」と「独壇場」こちらもまた意味が違うのでしょうか。

「独擅場」と「独壇場」の意味

読み方と「擅」と「壇」の違いがわかったところで、次に「独擅場」「独壇場」の意味について説明します。

「独擅場」の意味

「独擅場」の意味は、

・その人だけが思うままに振る舞うことができる場所・場面・分野。ひとり舞台。

元々あった独擅場の「擅」を「壇」と誤り、「ひとり舞台」の意味から「独壇場」というようになった。

「独壇場」の意味

「独壇場」は「独擅場」の「擅」を「壇」と誤って生まれた言葉で「独擅場」と同じ意味です。

「独擅場」も「独壇場」もその人だけが思うままに振る舞うことのできる場所や場面、分野のこと、また、ひとり舞台を意味します。

ここでひとつ「独擅場」「独壇場」を使った例をあげます。次のような光景を思い浮かべてください。

マラソン大会で他の選手を寄せ付けぬほどの独走で、2位以下に圧倒的な差をつけ1位でゴールした選手がいたとします。

この1位の選手だけが思うままに活躍することのできたマラソン大会の場面を表現して「今回の大会は彼の独擅場だった」または「独壇場だった」のように使います。

sponsored link

しかし、一般的に使用されるのは「独壇場(どくだんじょう)」です。

同じ意味なのですから、どちらも正しいはずですが、「独擅場(どくせんじょう)」とはあまり言いません。また、そもそも「独擅場」自体を知らないという人が大半だと思います。

ではなぜ「独擅場」ではなく「独壇場」を使うのか、次ではその疑問について解説します。

「独壇場」は読み方を誤ったことから生まれた言葉

実はこの「独壇場」、初めから存在した言葉ではなく、読み間違えによってできた言葉とされています。

もともとは「独擅場」でした。ここでもう一度、「擅」と「壇」について振り返ります。

「擅」の手偏を土偏と間違えた

「擅」と「壇」、よく似ていますよね。「独壇場」は本来の「独擅場」の「擅」の字の手偏を土偏の「壇」と勘違いし、読み方を「だん」と間違えたことにより誕生したようです。

確かに「擅」にはほしいまま独り占めにするという意味があるので、その人だけが思い通りに振る舞える意の「独擅場」と結びつくでしょう。

ところが「壇」はほかより一段高くした場所という意味なので、ほしいまま独り占めにするという意味には直接結びつきません。ですからもともと「独壇場」という言葉はなく後から生まれたものというのも納得できます。

「独擅場」と「独壇場」の違い

「独擅場」と「独壇場」の違いをまとめると、読み方「どくせんじょう」と「どくだんじょう」の違い、漢字「擅」・「壇」の偏(手)と(土)の違い、さらに「独擅場」はもともとあった言葉で、「独壇場」は後からできた言葉という違いです。

誤用から正しい言葉に昇格した「独壇場」

本来の意味ではなく間違えて使用される言葉は数多くありますが、その中でも「独壇場」は誤用から、いつしか正しい言葉として使われるようになった珍しい言葉の一つです。

今ではテレビでも「独壇場」を使うのが一般的であり、「独擅場」と全く同じ意味として使用しても、なんら問題のない言葉になりました。

しかしなぜ「独壇場」が本来は間違いであるのに、違和感なくここまで定着したのでしょうか。

それには「壇」の意味する「一つ上の壇」にあたる「演壇」や「教壇」といった言葉が「独擅場」の思うままにひとりで振る舞うことの意味と関連させやすかった点があげられると思います。

まとめ

言葉の誤用はたくさんありますが、そこから正しい言葉として扱われるようになり得るとは驚きですよね。

「独擅場」がもともとの言葉ですが、今では「独壇場」も間違いではなく、同じように使用できるので、堂々と「独壇場」を用いてください。

豆知識として頭に入れておくと、いつしか雑学を披露する場面があった際に、あなたの「独壇場」となるかもしれませんよ。

スポンサードリンク