「対応」「応対」という言葉があります。みなさんもよくご存知の言葉で、日頃から使っているのではないでしょうか。
同じ字を反対に組み合わせた「対応」と「応対」。どちらも似たような意味を持っているのでは?と想像しますが、実際にはどうなのでしょうか?
「対応」と「応対」この二つの言葉の違いを教えて!と言われたら、きちんと答えることができますか?よくよく考えると「対応」と「応対」、わかっているようでわかっていない言葉にも思えてきます。
そのような疑問を解決するために、この記事では「対応」と「応対」の違いについて調べ、類語と共にそれぞれの表す意味、そして使い方まで解説していきたいと思います。
「対応」と「応対」の違いとは?
それではさっそく、「対応」と「応対」この二つの言葉の違いについてみていきましょう。
「対応」と「応対」の違いは、応じる相手が人か人以外かというところにあります。
「対応」と「応対」それぞれの意味をみてみると
「対応」とは、相手や状況に応じて物事をすること。
「応対」とは、相手になって受け答えをすること。
とあります。文章で読み取るだけでは少しわかりにくいですね。そこで次では具体的な例をあげて説明したいと思います。
「対応」と「応対」具体例からみる二つの違い
下記の例文をもとに、「対応」と「応対」の違いを考えてみましょう。
ある日のA君の話
「この間、ある商品の使い方について詳しく聞きたくて、◯◯社に電話をかけたのだけど、あそこの電話対応は的確で素晴らしかったよ。それに最初に出た受付の人の電話応対も丁寧ですごく感じが良かったんだ。」
この文章には「電話対応」「電話応対」というように「対応」「応対」の両方が出てきます。
ここでの「電話対応」とは、A君が聞きたかった商品の使い方に対する対処のことを意味しています。その対処の仕方が素晴らしかったとA君は言っています。
そして「電話応対」とは、電話をかけたA君に対する受付の人の受け答えをさしています。その受け答えが丁寧で良かったとA君は褒めているのです。
このように「対応」とは、相手や状況に応じて物事を対処することです。例文でいえば、商品の使い方が物事にあたります。
一方「応対」とは対象は人であり、その人の相手になり、受け答えをすることです。例文中では受付の人が、電話をかけたA君の相手になり、受け答えをしたということになります。
「対応」も「応対」も、何かに応じることです。しかし、その何かが「対応」と「応対」では違うのです。「対応」は物事に、「応対」は人に応じるのです。
「対応」と「応対」の類語
ここでは「対応」と「応対」の類語にはどのような言葉があるのかをご紹介します。類語を知ることで、「対応」と「応対」の意味がさらにわかりやすくなるかもしれません。
「対応」の類語
「対応」の類語には「対処」「処置」「措置」などがあげられます。
「対処」とは「ある事柄や状況に対して適当な処置をすること」、「処置」とは「その場や状況に応じた判断をし、物事の扱いを決め、片付けること」、「措置」とは「事態に応じて必要な手続きをとること」を意味します。
いずれも「対応」の「相手や状況に応じて物事をすること」という意味と似ていますね。その時に求められる事案に対し策を講じ、解決へ導く行為が「対応」です。
「応対」の類語
「応対」の類語には「接待」「応接」「もてなし」などがあります。
「接待」とは「客をもてなすこと」、「応接」とは「訪ねてきた人を迎い入れて、相手をすること」、「もてなし」とは「人を丁寧に扱うこと」を表します。
「対応」よりも「応対」の方が今ひとつわかりにくい印象を受けますが、これらの類語をみてみるとどうでしょう。「接待」や「もてなし」と似た意味を持つと聞くと「応対」のイメージも湧いてきませんか?
「応対」という言葉は「客」に対して使うことが一般的なようで、先ほどの具体例に戻ると、A君の電話を最初に受けた人は、A君という客を迎い入れ、相手をしたのです。「応対」は訪ねてきた人に対して、内容に関わらず、相手をすることです。
「対応」と「応対」の使い方
ここではさらに例文をあげて、「対応」と「応対」の使い方をみていきます。
「対応」を使った例文
・今日はクレームの対応に追われた一日だった
・昨今の異常気象による災害への対応を、早急に行う必要がある
・子供が熱を出したので、仕事を休んで対応することにした
・明日の会議では、どんな質問にも対応できるように、しっかりと準備をして臨もう
・あなたの対応はとてもいい加減で、私の知りたかったことの何の役にも立っていない
「応対」を使った例文
・父の友人が訪ねてきたが、あいにく父が不在だったので、母が応対した
・この病院の看護師たちは、患者にもその家族にも、みな明るく親切に応対してくれるのでとても評判が良い
・あの店の店員は無愛想な上に応対も悪く、いつも嫌な気分になる
・どんな時でも丁寧な応対のできる人は、何かと重宝される
・あなたはとても応対がうまいからと、友人の結婚式で受付を頼まれた
まとめ
「対応」と「応対」、応じる対象となるものが「対応」は「物事」、「応対」は「人」ということを覚えて、上手に使いこなしましょう。
「対応」も「応対」もうまくできると人から評価されるものです。その場の状況に適した対応と、人に不快感を与えない応対を心がけたいものですね。